●美しいアナベル・リイ(新潮文庫) 大江健三郎●ロック母(講談社文庫) 角田光代●トリップ(光文社文庫) 角田光代●私の東京物語(文春文庫) 吉行淳之介
「美しいアナベル・リイ」は久々の大江節。でも、定期的に新作発表しているよなあ。とっても読みやすい文体、長さの1冊。映画作りという点ではワクワクさせるような展開。ただ、これは今までの大江作品を読んでいないとうまく乗り切れないんだろうな、とは思います。そういうところが私小説ということなのか? 今まで読んでない人は仲間に入れない的な…(笑)。
「ロック母」「トリップ」ともに角田光代の短編集。ロック母は過去10年くらいにわたる短編。トリップはある地方都市を舞台にした連作短編。ロック母のは様々な作風があるので一概には言えませんね。ただどうにも後味悪いというか不気味な話が多かったような…。
トリップは… 連作なんだけど、どうせ連作ならもっと関わりを大きく考えて創作してくれたらもっと面白かったのになあ、と残念になりました。それでいてなんとなく不気味、後味悪し。能天気な明るさはいらないんだけど、えー、このあとどうなっちゃうんだよ、と思わせて終了っていうのもちょっと酷い。
私の東京物語は吉行淳之介のエッセイ&短編集。この「東京」という都市を切り口にした編集は素晴らしいですね。読んでいて楽しい。60年代・70年代初頭までの作品で、その頃の東京を垣間見られるのも新鮮。なんというんだろうか、この小粋さは。視点の乾き方も好きなんだけど、その細かな丁寧な視点も素晴らしい。本当に丁寧な作品たちですね。
というわけで、2年半にわたったこのブログもここで休止。
約3年の東京外れの生活を終えて、7年ぶりに都内(都心)へ引っ越し、戻ります。
そこから、今度はどういう形で発信するかですね。発信しないかもしれないけれど(笑)。